ここでは切手に数多く存在する偽物の種類やコレクションとしての価値について説明しています。
切手は紙という材質や加工のしやすさもあって贋作や偽物が数多く出回っています。また発生した経緯や状態によって様々な呼び名があるのでコレクターとしてその意味を押さえておきましょう。
本物に似せて作られた切手です。中にはコレクターを騙す目的で作られたものもありますが、旅行者用の土産物など、ほとんどのものは簡単に見破ることができる程度のものを言います。
本物の切手に手を加えることで変種に見せかけるなどしたものです。図案を加工するだけでなく切手の目打ちを切り落として珍しいコイル切手に見せかけたものも変造切手に該当します。
最初から意図的に参考用として作られたもので、切手の裏に「参考品」という文字が入っています。1970年代の切手ブームの際に「月に雁」や「見返り美人」など入手困難だった切手の参考品が作られました。
切手収集家に向けてではなく主に郵便に使用する目的で作られた偽物の切手のことです。実際に使用され発覚してから、それまで透かしなしだった切手に透かしを入れるなど偽造防止策が図られるようになりました。
切手収集を続けているとしばしば偽物切手に遭遇することもあり、プレミア切手だと思って大切に保管していたら実は偽物だったということもあります。
もちろん偽物は無価値のものがほとんどなのですが、希少性や一部の収集家に需要があり価値が付くものもあります。
例えば1913年に見つかった菊切手の偽物は本物より高い数十万円の値がついています。横浜の郵便局員が偽造切手であることを見抜き、幸いにも市場に多く出回ることは無かったのですが、逆にそれが現在では価値を上げている珍しいパターンです。
また参考品として有名な「月に雁」や「見返り美人」の模造品シートは当時は見向きもされませんでしたが、現在では懐かしむ声もあり高値ではなくてもオークションである程度の値がつくこともあるようです。
本物か偽物かを正しく判別したり、何にどの程度の価値があるかの判断は素人では難しいでしょう。疑わしいと思ったら専門的知識を持つプロフェッショナルに鑑定を任せたほうが安全です。
デザインもサイズも多岐にわたり、必ずしも切手の縁がギザギザになっているわけではない切手。偽造されているものを見分けるのは決して簡単ではありません。ただ、現在使われている切手は偽造できないように特殊な紙が使われています。通常のカラーコピーでは簡単に色や細部の精巧な印刷を再現できないのは事実。ポストに投函されたハガキや手紙は、切手部分を検知して向きをそろえる機械に通すため、その機会が画像認識や色調チェックできる装置もあるそうです。また、偽造のレベルによっては一目で偽造とわかるものもあるようです。
ただ、偽造切手と本物の切手の見分け方については、切手の偽造防止技術にどんなものを施しているのかが公表されていないため「これさえ見れば偽物かどうかわかる!」というポイントを挙げることはできません。 また、切手の偽造は手間がかかる一方で割に合わないくらいしか儲けられないため、あまり偽造品を作る人がいないと考えられているのも事実のようです。
また、古切手や中国切手のような骨董的な価値のある切手の偽造かどうかを見分けるポイントは、切手によって異なります。「見返り美人」「月に雁」などの有名なプレミア切手は、印刷の色合いなど細かなポイントをチェックして行って偽物かどうかを判断します。
切手コレクターというのは、日本だけでなく世界中にいるもので、それに伴い世界中に贋作切手というものが存在します。世界的に有名な贋作・偽物切手の例をここでは幾つかご紹介しましょう。
例えば日本でも人気の高い中国切手の中で偽切手として有名なのが「赤猿」と呼ばれる切手です。プレミア価格がついている切手で、一枚当たり10万円以上の価格で取引されることもあります。そのため、贋作も多く出回っています。
また、贋作切手としてヨーロッパ有名なのが、ジャン・ド・スペラティという切手模造の名人による贋作切手です。イタリア生まれのスペラティは1800年代後半から1900年代前半の人物で、切手模造の名手として、ロンドンで開催された国際切手展で贋作切手の展示がされるほど精巧な技術で切手を模造していたことが知られています。プロの鑑定団も見分けがつかいないほど美しく作られた彼の手による贋作切手は350点以上。単なる贋作の域を超え、「作品」としての価値を見出すコレクターもおり、切手マーケットでも高額で取引されているそうです。ここまでくると、贋作切手もアートのよう。切手の美しさに心奪われた人が、贋作切手の世界にいたのは確かなことのようです。
先程ご紹介した、贋作切手として有名な「赤猿」の他にも、残念ながら中国切手の偽造品は数多く出回っています。
中国切手への人気が出始めたのは1950年代のこと。その人気さゆえに、文化大革命時代の切手は一枚で数万円〜高いものになると数百万、数千万円になるものもあるのです。そのため、ネットオークションや中国切手マーケットでは、偽造切手で儲けようと偽物を作る人が後を絶ちません。
そんな中、偽造中国切手として有名なのが先程ご紹介した「赤猿」というわけです。ただ、「赤猿」の偽造切手はそれ自体もレプリカとして欲しがる人がいるようで、偽物と分かっていても売買される例もあるそうです。
中国の偽造切手として価値が高いのが、文化大革命時代の切手です。文化大革命じだい、切手を収集することは欧米文化だとされて、規制され、収集家が所有していた中国切手はほとんどが廃棄されてしまいました。そのため、当時の切手は「文革切手」として価値が高く、投機目的で購入する人が今も後を絶ちません。
偽造中国切手の毒牙は、こうした文革切手にももちろん伸びており、切手売買をする際には、業者が信頼できる業者なのか。真贋を見分けられる鑑定眼を持っている業者かどうかなどをきちんと見極める必要が出てきています。