ここでは第一次国宝シリーズの切手とは、どのようなものかを説明します。買取価格についても紹介しています。
第一次国宝シリーズは、1967年11月1日から1969年9月25日にかけて、日本郵便によって発行された切手です。
国宝切手シリーズとは、第一次から第三次にかけて発行された切手のことで、すべて日本の国宝を図案としています。
第一次国宝シリーズの切手は、全部で7集・22種類。飛鳥時代の切手3種からはじまり、江戸時代の切手3種までのを含みます。発行枚数は、各種類ごとに800万枚から2200万枚です。
切手には、それぞれの時代を象徴する、優れた重要文化財が描かれています。誰もが見たことのある有名な国宝がモチーフになっており、日本らしい優美に魅せられるものばかりです。
第一次国宝シリーズの切手は、買取においてそれほど高値はつきません。理由は、発行枚数が多いこと、さらに現存数も多いことも影響していることが背景にあります。
買取価格は、一枚50円ほど。単片切手の価格は約10~100円まで、ばらつきがあります。平均して、額面程度の価格が相場です。すべての種類が揃っている場合は、やや価格が上がりやすくなりますが、プレミア価格がつくことはありません。
第一次国宝シリーズの切手は、珍しさや希少価値よりも、デザインレベルの高さが評価されている切手だと言えるでしょう。
思いもよらぬケースで、高値で買取されることもあります。使用済みの切手、エラー切手であれば、バラ切手でも相場より高水準で取引される可能性があります。
エラー切手とは、印刷ミスによって発行された切手のことです。印刷技術が発展した現代では大幅に減少しました。今では珍しく、あまり現存していないため、希少性が上がります。
第一次国宝シリーズで、使用済みの切手やエラー切手を所有している場合は、一度、鑑定をしてもらってはいかがでしょうか。高額で買取価格を提示してもらえる可能性があります。
飛鳥時代から江戸時代まで22種類のうち、高い人気を集めている切手を取りあげます。
名称:第一次国宝 飛鳥時代 弥勒菩薩
発行日:1967年11月1日
平均的な相場:30円
弥勒菩薩は、太秦にある京都最古の寺院・広隆寺に現存する木造弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒)がモチーフになっています。国内初の国宝に指定された彫刻です。色鮮やかな多色刷りが、インパクトを与えています。人々を苦しみや悲しみから救済する菩薩として、仏像ファンからも切手コレクターからも人気は絶大です。
名称:第一次国宝 飛鳥時代 法隆寺
発行日:1967年11月1日
平均的な相場:90円~120円
奈良県を代表する歴史的な仏閣である法隆寺。世界最古の木造建築としても知られています。五重塔と法隆寺金堂が並んでおり、晴れ渡った青空が背景になっています。独特なデザインの決め手の一枚です。
名称:第一次国宝 奈良時代 阿修羅
発行日:1968年2月1日
平均的な相場:30円
奈良県興福寺の阿修羅像がモチーフになっています。3つの顔に、6つの腕の三面六臂が印象的な阿修羅像。圧倒的な迫力を漂わせるデザインで、かつ凹版型に印刷されていることから、切手ファンの心をつかんでいます。見た目はもちろん触っても楽しめる、画期的な切手です。
名称:第一次国宝 奈良時代 吉祥天
発行日:1968年2月1日
平均的な相場:90円~120円
モチーフになっているのは、奈良県薬師寺に収められている吉祥天の絵画です。吉祥天からは、女性の美しさ、知性、しなやかさが伝わってきます。レア切手として注目されました。発行枚数は、1,000万枚。阿修羅と比べても、1,200万枚少ないため、流通量が限定されています。
名称:第一次国宝 鎌倉時代 源頼朝像
発行日:1968年9月2日
平均的な相場:30円
源頼朝像は、京都・神護寺が所有する切手です。神護寺には、絹本著色伝源頼朝像、絹本著色伝平重盛像、絹本著色伝藤原光能像の神護寺三像と呼ばれる三幅の肖像画があります。
源頼朝像の所有先は京都国立博物館もしくは神護寺で、現在でも定期的に一般公開されており、知名度の高い国宝です。
名称:第一次国宝 鎌倉時代 平治物語
発行日:1968年9月2日
平均的な相場:30円
合戦絵巻「平治物語絵詞」の一遍を描いた切手です。「平治物語絵詞」は、1160年に起きた平治の乱が舞台になっています。採用されているのは、内裏に幽閉された後白河上皇と二条天皇が脱出しようとする様子が描かれた「六波羅行幸巻」の一部。切手で確認できるのは、女装をして車に乗りこむ二条天皇と、追っ手の敵側の武将です。
名称:第一次国宝 室町時代 秋冬山水図
発行日:1969年2月10日
平均的な相場:90円~120円
秋冬山水図は、室町時代を代表する水墨画家・雪舟の代表作。秋冬の水墨画のうち、冬の山景を描いた「冬景山水図」が採用されています。山々の雪化粧と、山道を歩く人が、水墨によって奥深く表現された名作です。
名称:第一次国宝 桃山時代 姫路城
発行日:1969年7月21日
平均的な相場:30円
平成の大修理でまばゆい復活を遂げた姫路城。白鷺城という呼び名を持つ、美しい史跡です。世界遺産にも登録されており、世界的な知名度があります。