ここでは切手趣味週間シリーズの概要や価値・買取価格について紹介しています。
切手趣味週間シリーズは健全な切手収集の普及を目的として1947年から現在に至るまで毎年発行されている特殊切手です。「見返り美人」や「月に雁」など切手収集の経験がある人なら誰もが知っている人気の高い切手があります。
発行日:1947年11月1日(300万枚)
買取相場:1~499円
切手趣味週間の第1弾として、1947年に発行された切手であり、浮世絵師・葛飾北斎によって描かれた「富岳三十六景・山下白雨(通称:黒富士)」がモチーフとなっています。1円切手を5枚組にした小型シートとして発行され、また発行時期によってインクの濃度に違いがあり、「濃青」「淡青」として価値も異なっています。なお、希少性は一般的に濃青の方が上です。
発行日:1948年11月29日(150万枚)
買取相場:3000円前後
1948年シリーズ2回目に発行された切手趣味週間を代表する有名な切手です。江戸時代の画家・菱川師宣が描いた見返り美人画を題材とし、縦が67mm、横が30mmと大きなサイズであることも当時話題になりました。切手ブームの頃より下げましたが、現在でも人気が高くバラ切手でも3000円くらいの価値が見込める切手です。
発行日:1949年11月1日(200万枚)
買取相場:2,000~5,000円
見返り美人に続いて1949年に発行された切手です。江戸時代の浮世絵師・歌川広重が描いた「月に雁」を図柄としており海外のコレクターにも人気があります。切手ブームの収束とともに何万円ものプレミアが付くことは無くなりましたが、現在でも状態が良ければバラの状態でも5,000円ほどの価値が見込める切手です。
発行日:1954年11月20日(60万枚)
買取相場:5,000~10,0000円
シリーズ4回目に発行された切手で第2次動植物国宝切手シリーズの観音菩薩像の図柄がそのまま採用されています。それまでとは違い額面10円の普通切手サイズのものが10枚綴りのシート形式になっています。発行枚数が制限されていただけでなく、販売された局も限定されていたこともありかなりのプレミアが付いています。
発行日:1955年11月1日(550万枚)
買取相場:100円
シリーズ5回目に発行された48mm×33mmの大判切手で、江戸時代の浮世絵師・喜多川歌麿の描いた美人画が図柄に採用されています。発行当時は人気がありましたが発行枚数が多いため希少価値はそれほど高いとは言えません。10面シートがよい状態で残っている場合は1,500~2,000円程度の値がつくこともあります。
発行日:1956年11月1日(550万枚)
買取相場:100円~200円
シリーズ6回目に発行された切手で、浮世絵師・東洲斎写楽の「市川蝦蔵」が図柄として採用され買取業者によっては「えび蔵」と呼ぶこともありますが同じものです。歌舞伎役者がモチーフということで海外のコレクターにも人気がありますが、発行枚数が多いためバラの買取価格は最大でも200円、シートで2,500円程度です。
発行日:1957年11月1日(850万枚)
買取相場:1~499円
切手趣味週間の第7弾にあたる「まつりき」は、江戸時代の浮世絵師・鈴木春信の美人が描かれている切手です。鈴木春信は「夢幻的美人画の創始者」ともいわれ、可憐さと繊細さを備えた人物像を描く人気絵師でした。色鮮やかなこの切手は850万枚も発行されましたが、コレクターからの人気は比較的高いです。ただし、保存状況によって価値が大きく変動することも特徴です。
発行日:1958年4月20日(2500万枚)
買取相場:1~499円
北斎や写楽などと並んで、六大浮世絵師の1人とされる鳥居清長が描いた、「雨中湯帰り」をモチーフにされた切手です。元の絵は雨傘をさした3人の女性が描かれていますが、この切手では黄色い傘をさした1人の女性が大きく描かれています。発行直後にたちまち人気が出てファンも多い切手ですが、それに応じて刷られたために発行枚数も多く、市場価値は控え目です。
発行日:1959年5月20日(1500万枚)
買取相場:1~499円
浮世絵師・細田栄之の作品「浮世源氏八景」がデザインされた、切手趣味週間記念切手の第9弾です。武家出身の細田ならではの、上流階級を思わせる清楚な美人画が特徴であり、切手にも品のよさが漂っています。発行枚数が多いため買取相場はあまり高くありませんが、保存状態がよいシートであれば、4,000円程度での買取を期待することもできそうです。
発行日:1960年4月20日(1000万枚)
買取相場:1~499円
デザインに使用されている「伊勢」は、現存する最古の絵巻「佐竹本三十六歌仙絵巻」の1枚であり、平安時代の女性歌人に相応しい優雅さと華やかさが印象的な切手です。発行年は1960年代で、発行枚数も1000万枚でありながら、切手の風合いは落ち着いた歴史を感じさせるものとなっており、海外コレクターからの人気も高い1枚となっています。
発行日:1961年4月20日(800万枚)
買取相場:1~499円
「舞妓図屏風」は、六曲屏風の扇それぞれに舞妓が1人ずつ描かれ、切手にはその中から赤い着物をまとった舞妓の姿が採用されています。長い黒髪の艶やかさとしなやかな動きが魅力的なデザインであり、海外コレクターからの人気も高い切手です。ただし、保管状況によって着物の鮮やかさが大きく変わるため、高価買取には保存状態が重要となるでしょう。
発行日:1962年4月20日(1000万枚)
買取相場:1~499円
狩野派一門の1人である狩野長信によって描かれた風俗画、「花下遊楽図」がモチーフとして使われている切手です。金箔で飾られて豪華絢爛なイメージが強い屏風絵の中にあって、この絵には水墨画の技法が取り入れられており、狩野長信の代表的な傑作としてされています。ただし、切手自体の買取相場は平均的といえます。
発行日:1963年4月20日(1450万枚)
買取相場:1~499円
江戸時代の風俗画として人気の高い「本多平八郎姿絵屏風」から、千姫が大切な手紙を読む場面が選ばれた切手です。禿が持つ1通の手紙を千姫が読んでいる様子からは、当時の文化が伝わってきます。発行枚数が多く、基本的に買取評価額はあまり高くありません。ただし、初日カバーに限っていえば、2018年に31,000円で取り引きされた例もあります。
発行日:1964年4月20日(2800万枚)
買取相場:1~499円
1964年(昭和39年)に発行された「宿木」は、平安時代中期に紫式部によって書き上げられた「源氏物語」の一編「宿木 三」が絵柄として用いられた切手です。光源氏の死後の物語として、源氏の面影を宿した匂宮と、彼の妻である中の君がモチーフとなっており、情緒豊かで人間味のある物語の一幕となっています。発行枚数が多いため、高価買取には美品が最低条件といえます。
発行日:1965年4月20日(3800万枚)
買取相場:1~499円
日本画家として人気の女流画家、上村松園の作品「序の舞」が絵柄として使われている、1965年発行の切手です。鮮やかな朱色の着物姿で舞う、美しい女性の魅力が再現されている切手であり、人物の表情や着物の柄など、細部まで見事な筆致が特徴となっています。発行枚数が多く額面通りの買取が一般的ですが、状態によってそれ以上の買取価格も期待できるでしょう。
発行日:1966年4月20日(3500万枚)
買取相場:1~499円
洋画家・藤島武二の「蝶」が採用された、1966年発行の記念切手です。長い黒髪と白い肌を持つ美しい少女と、彼女の周囲を飛び回る色とりどりの蝶が描かれたデザインで人気ですが、発行枚数が多く買取単価はあまり高くありません。ただし、他の発行年の切手と合わせてシリーズ収集している人も少なくなく、セット売りで額面以上の取り引きを期待できるかも知れません。
発行日:1967年4月20日(3300万枚)
買取相場:1~499円
洋画家として「外来派」というジャンルを確立させた人気画家、黒田清輝の作品「湖畔」がモチーフとなっている記念切手です。穏やかな湖畔でうちわを持った浴衣姿の女性が佇んでいるデザインは、柔らかなタッチと繊細な色彩表現で唯一無二の魅力を放っています。希少価値は高くないので買取価格も額面通りが基本ですが、状態によって価格アップも期待できます。
発行日:1968年4月20日(3000万枚)
買取相場:1~499円
海外でも非常に人気の高い「舞妓」をモチーフとした、人気画家・土田麦僊の「舞妓林泉」が図柄として描かれている昭和43年発行の記念切手です。発行枚数が多く、市場に出回っている枚数も少なくないので、希少価値としてはそれほど高くありません。そのため買取価格は額面通りが通常ですが、海外人気の高い図柄なので状態次第では額面以上の買取の可能性もあります。
発行日:1969年4月20日(3150万枚)
買取相場:1~499円
小林古径による作品「髪」をモチーフにした、昭和44年に発行された記念切手であり、上半身裸の女性がモデルになっているとして、非常に大きな話題となった切手でもあります。また半裸のインパクトだけでなく、女性の黒髪を青い着物姿の女性が丁寧に整える様子が、中国の古画の影響も受けた技法によって描かれており、国内外でコレクター人気の高い切手の1つです。
発行日:1970年4月20日(3500万枚)
買取相場:1~499円
様々な女性画を残した人気画家、岡田三郎助の作品「婦人像」が図柄になっている、1970年代最初の記念切手です。着物姿で鼓を叩く大和撫子が洋画独特のタッチで描かれており、人気の切手でもあります。ただし、1970年代以降の切手は発行枚数が多く、買取価格は額面通りが一般的です。そのため、額面以上での買取を期待する場合は状態の良さが必須でしょう。
発行日:1971年4月19日(4300万枚)
買取相場:1~499円
1971年に発行された「築地明石町」は、明治から昭和の時代に活躍した日本画家・鏑木清方による、艶やかな美人画がモチーフとなっている切手です。比較的新しく発行枚数も多いため、希少価値は並であるものの、図柄そのものの人気が高く、市場での取り引きも活発に行われています。そのため、状態が良いものであれば額面よりも高価な買取を期待できる可能性があります。
発行日:1972年4月20日
買取相場:1~499円
1971年(昭和46年)に発行された「気球揚る」は、中村岳陵の作品をモチーフとした額面20円の切手です。快晴の下で気球を眺めようとオペラグラスを持った、青いドレス姿の貴婦人が美しい人気の切手です。しかし発行年数が比較的新しい上、発行枚数も5000万枚という膨大な数となっており、希少価値が少なく、よほどの美品やシートでなければ高価買取は難しいでしょう。
発行日:1973年4月20日
買取相場:1~499円
1973年(昭和48年)発行の「住吉詣」は、人気画家である岸田劉生の同名作品がモチーフとなっている切手です。赤い着物を着た黒髪の童女の姿は、日本文化を愛する外国人にも人気が高い反面、発行枚数が5000万枚と現存枚数も多く、記念切手としての買取価格はあまり高くありません。ただし、保存状態の良い美品であれば、思わぬ高価買取が期待できることもあるでしょう。
発行日:1974年4月20日
買取相場:1~499円
大正から昭和にかけて活躍した浮世絵師兼画家であり、名女優・朝丘雪路さんの父親としても有名な伊東深水の「指」をモチーフにした切手趣味週間記念切手が、1974年(昭和49年)に発行された「指」です。歌川派を受け継ぐ美人画で知られた伊東深水の作品に相応しく、物憂げな表情で指輪を見つめる女性の姿が魅力的な一枚ですが、発行枚数は5000万枚と、希少価値は控え目です。
発行日:1975年4月21日
買取相場:1~499円
1975年(昭和50年)に発行された「松浦屏風」は、額面20円の記念切手がペアとなり、左右一対で1枚の屏風絵を完成させている切手です。モチーフとなった屏風絵は正式名称を「婦女遊楽図屏風」といい、平戸藩の松浦家が所蔵していたことに由来して「松浦屏風」と呼ばれています。発行枚数は3000万組とレア度は低めで、額面以上の買取には2枚セットの美品が最低条件です。
発行日:1976年4月20日
買取相場:1~499円
前年に続き、屏風絵のペア切手として1976年(昭和51年)に発行された切手が「彦根屏風」です。正式名称「紙本金地著色風俗図」をモチーフにしたこの切手は、左右一対の切手にそれぞれ2名の人物と、左側に1匹の犬が描かれ、軽快な動きや繊細な着物柄が魅力的な切手です。ペア合計で2350万組と前年よりやや少ないものの、レア度はあまり高くありません。
発行日:1977年4月20日
買取相場:1~499円
左右一対のペア切手として、「機織図」は1977年(昭和52年)に発行されました。江戸時代の岩佐派によるものとされる屏風絵がモチーフになっており、左側には糸くぐりをしている2名の女性や、赤い細帯を締めた女性の立ち姿が、右側には立派な機織り機を巧みに操る女性の姿が活き活きと描かれています。額面は各50円ですが発行枚数が2500万組と多く、買取価格は控え目です。
発行日:1978年4月20日
買取相場:1~499円
趣味週間記念切手ペアの第4弾として、1978年(昭和53年)に発行された切手が「寛文美人図」です。左右一対の切手にはそれぞれ艶やかな着物をまとった女性が1人ずつ描かれており、左の女性は南蛮風の椅子に腰掛け、右の女性は優雅に舞っています。発行枚数は2350万枚で発行年も新しく、希少価値は低いものの、海外のコレクター人気はそれなりに高い切手です。
発行日:1979年4月20日
買取相場:1~499円
1979年(昭和54年)に発行されたペア記念切手です。モチーフには江戸時代中期に活躍した絵師集団「懐月堂」の美人画が採用されており、左の女性は安度、右の女性は弟子の度繁の作とされています。青や金といった華やかな着物に加えて、鮮烈な赤い襦袢が覗く美人画は評判で、発行枚数2500万枚と多いものの、他年代の切手と組み合わせればプラス査定となるかも知れません。
切手の価値がわからないとプレミア切手でも売却先によっては額面以下の金額になってしまうことがあるので、買取は専門の買取業者に依頼することをおすすめします。